「パリ20区、僕たちのクラス」を観た感想

 6月、久しぶりに岩波ホールで映画を観た。
 最後に、岩波ホールに入ってから5年以上が経っているかもしれない。
 岩波ホールは変わらぬ佇まいで、僕を迎え入れてくれた。
 一緒に映画を観る顔ぶれは、自分より少し年配な方が多く、まばらな人数だった。
 午後から有休を取って観に行ったので、普通に働いている人が観に来るには先ず無理な時間帯だ。
 

 さて、作品はフランスで製作され、2008年のカンヌ映画祭パルムドール(最優秀作品賞)を獲得している。
 内容は、パリ20区の中にある、中学校における日常を淡々と描いている。
 具体的には、学校内での生徒と先生との丁々発止のやり取りを生々しく描いていたり、生徒、保護者、先生の三者面談での赤裸々な会話などだ。
 そうした場面を観ると、まるでドキュメンタリーのように思えるが、パンフレットを読むと脚本・演出を行っているらしい。
 カンヌ映画祭で高い評価を得たのも、この作品が持つ生々しさが真に迫っていたからではないかと思える。
 また、フランス映画らしいと感じたのは、この映画を観ている人たちを一気に突き放すかのようなラストである。
 この作品を見た人たちは、このラストシーンの後、作中の人物たちがどういう人生を送っていくのかを想像せざるを得ない、とても印象的な終わりかたに驚くこと必至。
 もう大分、上映している劇場も少ないですが、観に行ける方はぜひ観に行って欲しい作品。